過去のない男

監督： アキ・カウリスマキ
出演： マルック・ペルトラ、カティ・オウティネン

これは面白かった。それでたぶんきっとすごくいい映画；おもしろくて、美しくて、淡々としていて、感動できて、いいことも言っちゃってる（心に残る）、貴重な映画。

カウリスマキ監督の作品、４本目にして（たしか）自分と合っているかもしれないと思った。
あだち充のキャラクターのように乏しい表情と抑えたセリフの中に漂う、緊張感、間に磁石のように引き付けられる。相変わらずどこか殺風景に思える暗さのある映像も好き。
ああこのかんじは癖になるかも。

人物描写が魅力的（犬も含めて）なのはもちろんだけれど、ありがちなはずの記憶喪失ネタを淡々と描いているにもかかわらず飽きさせないのは、ところどころに顔を見せる彼のユーモアと冗長さがなくテンポ良い展開のためか。
ラストのあっさり加減は意外だったが、レトロに感じた。

温泉に行ったら仲間と騒ぐ派より、しっぽりまったり派向け。
評価：★★★★☆(4.5)

そうそう、終盤、食堂車の中の場面でいきなりCKB *1登場（BGMで）、相変わらずふざけたことを日本語で歌っていて思わず聞き入ってしまったけれど、寿司、日本酒を出しつつＣＫＢって、フィンランドの列車、上級者過ぎdaro。

*1:クレイジーケンバンド