雨の日。
私の部屋を訪れた恋人は小さくて窮屈そうなトレーナーを着ていて、私が着ていた大きなトレーナーと交換したらお互いちょうどよかった。
飛行機のチケットを予約してでかけて、カラオケでデュエットを全部一人で歌った。
結婚式でいただいた花瓶にいけるお花を買いに何件か花屋をみたけれど、チョコレート・コスモスがおいていなかったので諦めて喫茶店に寄って帰った。
夕飯時になって、明日はハロウィンということを思い出してジャック=オ=ランタンのキャンドルを点けた。


子どもの頃、友達どうしで集まってハロウィン・パーティをしたことがある。
友達のひとりがアメリカに住んでいた時のアルバムを見ていたら子ども心に火がついて、同じ団地に住むクラスメートで仮装して公園に集まって、何組かに分かれてみんなの家を回ったのだ。
自分のうちに寄った時、「Trick or Treat!」とみんなでドアを開けたら犬に思い切り吠えられたのだっけ…。
それで次の日、一緒にジャック=オ=ランタンを持って回った男の子と初めて恋人どうしになったというラブリーなおまけ付き。
そのうちまた、今の友達でも集まってハロウィン・パーティを開きたいな。
ばかみたいな仮装して今度は誰かの部屋に集まって、オレンジと黒でにぎやかに飾り付けをして、音楽をかけておいしいものを用意して更ける夜に延々おしゃべりしたい。


お腹がいっぱいになった私たちはソファに並んで腰掛けて、ジャスミン茶を啜りながらNHKのニュースを見た。
帰り際、恋人とトレーナーを取り替えるのを忘れた。