WALKABOUT 美しき冒険旅行

pir2005-07-26

監督:ニコラス・ローグ
音楽:ジョン・バリー
出演:ジェニー・アガター、リュシアン・ジョン、デヴィッド・ガルピリル
WALKABOUT 美しき冒険旅行 [DVD]
いつだったか幽玄で美しいポスターを見てからいつか観たいと思っていた作品。貧弱な品揃えを誇る私の「行きつけ*1」になぜか入荷していたので喜び勇んで借りました。
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すごく切なかった。
コーカジアンの女の子が、アボリジニの男の子が殺した動物を火に焼べるのに顔を背ける場面があったけれど、彼がやりで突き刺した動物を棒で叩きまくって息の根を止めるシーンにはそんなこと思わなかったのに、ハンターが銃で動物を殺すシーンはひどく野蛮で恐ろしく、無力感に襲われた。
スマートにすべてを奪う銃のなんと野蛮なこと!自然の中で銃は卑劣な反則技のように見えた。
草原を駆け去るトラックの乱暴なまでの不調和。その一部始終を微動だにせず見詰めていた少年の瞳…。
なんでこんなことになっちゃったんだろう。
人間は、もともと、美しいのかな?



評価:★★★★☆(原作も読んでみたい)


その他:少女に夢を馳せる貴方にもオススメ
・全編通してリアリティのある映像で力強く描かれているのに、惜しむらくは、少女の描写がやたらドリーミィなこと。始まってすぐ、ジェニー・アガターが丘の上の道を歩くシーンで早くもなにかおかしいなと思ったら(だいいちスカート短すぎだし…)案の定、おじさんの(必死に啜る)よだれの匂いがそこはかとなくクンクン。ああ作ったの絶対男なんだろうなあと思った。
少女が人魚のように裸で池で戯れるあの場面に限っては、音楽も過剰に思えるほどの演出でしらけちゃったし。はー少女には夢見ちゃうのね、しょうがないね、おじさん!この映画の「熱狂的ファン」っていうのがそこら辺に食いついているのだったらいやだな…。
・「髪結いの亭主」のあの踊りに匹敵する、いや、超えているかもしれない切ないダンス。弟が来て話すまでは誰だかわからず、彼女同様、私も怯えるほど怖さを覚えてしまった。そして彼だと気づいたとき、愕然となった。
・いくつもの意味で美しい映画ですが、虫嫌いの人には残念ながらオススメできません。死骸に虫がたかるシーンのアップなどもあるので。

*1:TSUTAYA