un dessert, svp.

残業続きで香水のにおいも忘れそうな日。
真っ暗になった電車の窓に映る自分の姿をぼんやり視界に入れながら、そうだスウィーツだ、とひらめいた。
目の前に運ばれてくれば、どんなコンプレイナーも目を輝かせて黙っちゃう。そのおいしさは特別で、とりたてて飾っているわけじゃないのにどこかかわいくて、メニューの"dessert"の欄の文字を追うだけでわくわくして嬉しくなってしまう。


自分がどうなりたいかなんて、食べたいものにすっかり表れているのかも?


実は人間って食べものと通じるのでしょうか。
だってほら、厳しいしわの入った顔にやたらフリルのついた服を着て妙なお化粧をした人みたいに、苦いものを無理に甘くしようとトッピングを重ねれば重ねるほどひどい味になる…。
うわー。


高給取りの有能さ、交際家の器用さ、男殺しのテクニック、家庭的な人柄だったり人望厚い人柄だったり、みんなたしかに魅力的だけれど、結局のところ、私は一生デザートみたいな女の人でいられたらきっとそれがすべてだわ。