可愛がられる準備はできていた

性別も年齢も関係なく、会った回数も、話のあう・あわないなんかも関係なく、相手の気持ちさえおかまいなく、たぶん直感的に、なぜだか好きだと感じる人に時々出会う。
彼らになんらかの共通点があるのかどうかもわからない。ふしぎと勝手に一方的に感じてしまう、このすうっと融け込むような心安さ、くすぐったいような安心感はどこから来るのだろう?
ともかくそんな時、私は嬉しくって、恥ずかしくって、現実の関係性なんてすっとばして妙に親しげになってしまったり、逆によそよそしくしてしまったりする。たぶんいささか奇妙なことだろうと思う。


残念ながら、ストレートに好き好きと迫っていったり、恣意的に人に近づいたりする素直さや器用さは持ち合わせていないから、いつの間にか仲良くなれていることも、なれないままに会う機会を失うこともあったけれど、今日のあの人にはまた会いたい。
その人は赤ワインをぐるぐる廻しながらよく飲んで、
「もしまた機会があればどうぞよろしく。なければ末永くお元気で」
なんて相変わらずな口調で言っていたけれど。


ひとりになった帰り道、油断すればぴょんぴょん地面を離れそうな自分の足取りに、やっぱりそうだったんだと思った。
なぜだか彼は私をいろいろなところでみかけるらしいから(たぶん人違いだと思うけど)、また会えることがあったら、今度はがんばって少しアプローチかけてみなくちゃ。見つけた必然、もしくは偶然を、しっかり拾わなくちゃ。
きっとまだ遅くない。きっとまた会えるはず!