旧約聖書入門(三浦綾子)

旧約聖書入門―光と愛を求めて (光文社文庫)

旧約聖書入門―光と愛を求めて (光文社文庫)

この本には「神への服従」という言葉が何度となく出てくる。
この本を読んでいる途中で読んだ「生きながら火に焼かれて*1は、ヨルダンの封建的な村に生まれた女性が主人公の話だった。そこでは極端な男尊女卑がまかり通り、女性の人権はかぎりなく男性に侵害され、命でさえも一族の男性に委ねられているような社会らしい。主人公の女性はしかし、毎日暴力をふるう父親に無意識に憎しみを抱きながらも、それが当たり前なのだと思って「服従」していたという。
最初、三浦綾子のいう「服従」とヨルダンの女性の「服従」がどう違うのかとさえ感じたが、読みすすめるうちになんとなく違う気がしてきた。
神への服従はあくまでも自由意志とされていることの意味はやはり大きくて、だからこそ服従して幸福感が得られるのだろう(でも信じないと罰をくだしたりする神さま)。
この本を読んだだけではわからないことの方が多いくらいで、服従のこと以外にも反発を感じることがたくさんあった。
わかったと思えたのは、この世の創造主として神を信じるというのは単なる幸せな人かと思っていたけれど、相当に困難なことであり、自分を信じるのと変わらぬタフさが求められる行為なのだということくらいかなあ。特に預言者のくだり。

*1:写真が怖い!