どですかでん
監督:黒澤明
出演:頭師佳孝、伴淳三郎、田中邦衛、菅井きん、三谷昇、三波伸介
音楽:武満徹
原作:山本周五郎
企画:四騎の会
@三鷹市芸術文化センター
黒澤明初のカラー映画。ということで、冒頭から溢れ出すような色の嵐(子どもの絵なんてずるいよ!)。
ストーリーそのものより、映像、演技、台詞、美術など、はしばしが強烈に印象に残る傑作。そんなことは私にとって特別だ。
地球の、どこかの、ある場所で暮らす、市井の人々の日常を覗く*1。
みんなそれぞれ毎日を生きている、こういうふうに生まれてきた現実を健気に受け止めて、どうにかこうにか生きている。
彼らに凄いねと言ったらきっと、何を言っているのか、みんなやってることだと、当たり前だと言ってさっぱりした声で大きく笑うだろう。ブラシ職人の良さん(三波伸介)みたいにね。
ひるがえって、現実を見つめられない者の哀れさは容赦なく描かれていた。
必死さが足りないと嘆かれる私たちの世代だからこそ、こんな乱暴で生き生きした世界を桃源郷のように眺めてしまうのかもしれない、とまとめたいけれど、あの舞台と融合させたかったかのようなバックは、誰が観たって幻想世界だと思う。
評価:★★★★★
*1:ときたら私が気に入らないわけない