日の名残り(カズオ・イシグロ)

日の名残り (ハヤカワepi文庫)

日の名残り (ハヤカワepi文庫)

電車の中で読むにはとてもいい本だった。
楽しいデートのように、読み終わってしまうのがもったいなくて、途中からは惜しむように読んだ。
大した事は起きない、大して感情移入もできない、最初はなんだか退屈だったのに、でもいつしかその世界に引き込まれる。
なんだかベルセバに似てる。
訳者のあとがきに書いてあった、日本人っていうことに全然アイデンティティがないっていう(元)日本人の作者、それがいちばん衝撃だった。
夕方を迎える前の草原のような、清々しくて少し切ない、美しい空気をありがとう。