もう、家に帰ろう*1

写真:藤代冥砂、モデル:田辺あゆみ
ロッキングオン 2,625円

田辺あゆみを妻とする写真家が撮った愛妻写真日記、いや現代のポエム?
数年前、アサヒカメラの特集「愛する人を撮る」にもこのうちの何枚かが載っていて、日常の中で愛しい人を撮っていること&信頼している人に撮られていることが伝わって来る写真はとてもすてきでした。

この写真集では、彼らの生活に溢れる「愛」を最初から最後までこれでもかと見せつけられて、おなかいっぱいになりました。私にはアサヒカメラに掲載されたくらいでちょうど良かったな。
妻を撮りまくった写真集にはかつて荒木*1大先輩の「センチメンタルな旅」というすばらしい写真集が私家版でありましたが、これもなー、私家版で出すくらいの恥じらいが欲しいところ…。
あれは新婚旅行というシチュエーション下で、気鋭さや緊張感もありましたが、こちらは数年に渡る(夫婦としての)日常生活ということもあり、さらに、「そこに立って」「座って」しか言わない、と書いてある通り、記念写真のようなものも多いゆるーい雰囲気。そういえば、あちらはその最中の衝撃的な連続写真がありましたが、ここにはセックスに関するもの(前後含め)はもちろん裸の写真は一枚もなかったような(よく考えるとうさん臭いなあそれ)*2。そんな無害で温かい写真には、これまたゆるーい独り言みたいなカメラマンのひとことが添えられています。
一枚一枚はいい写真だと思うのだけれど、もしこれが知人の(セミ)プライベートなアルバムというのならともかく、写真集としては私には違和感がありました。まあ、タイトルでそれにちゃんと気付けよ、って気もしますが。
しかも店内のポスターには今度サイン会で田辺あゆみさん来店とか書いてあって、ますますそれは確信を深めました(どんな顔でこの本にサインを?!)。

*1:荒木経惟

*2:あ、たしか寝室でベビードールのようなものを着た写真はあった。