好色五人女(吉行淳之介)

表題の作品は昔の色恋話。に、命を懸けた(もしくは、懸ける羽目になった)まさに名実共に「恋に生きる」女をテーマにした短編集です。くだらないといえばくだらない、でも面白い。
そこここに顔を出す色恋沙汰ワード(「寝物語」や「姫始め」のような)や言い回しは、時に身も蓋もないようでいて味わい深く、最近の短絡的で薄っぺら(で、不快)な”エロ”文化をあざ笑うかのようです。さすが井原西鶴、もしくは吉行。
世間胸算用」のほうはテレビから笑わせてくれる好きな芸人のネタ以上に可笑しい小話が満載で、小気味よく笑いまくり。あなたも読めばきっとその洒脱さに舌を巻くこと請け合いです。
それにしても、男色って相当盛んだったのか当然のように記述があったけれど(まるで喫煙と同様に文化だというかのように)、一体いつ頃今のようにイレギュラーなものとして隅に追いやられるようになってしまったのでしょうね?