三四郎(夏目漱石)

三四郎 (新潮文庫)

三四郎 (新潮文庫)

すでに大学時代が過ぎてしまった私、夏目漱石を読むなら一刻も早くこれを読んでおいたほうがいいような気がして読んでみました(次もあるし)。
でも全然まだイケル。たぶん20代なら遅すぎることはないのではないでしょうか。
会話がおもしろい。与次郎(「愛すべき悪戯者」)の「人間は自分が困らない程度内で、なるべく人に親切がしてみたいもの」だとか、隣のテーブルの会話であっても頷きたくなるようなかんじ。特に広田先生の親切の話は嬉しかったな。もちろん、そこここの相変わらず飄々としたユーモラスな表現にも何度も吹き出した。
しかし、三四郎の経験は普遍的で共感できる人も多いと思うけれど、これじゃあなぜ美禰子が三四郎に恋をしたのか私にはさっぱりだ。ずっとうじうじして、物も言わず立ち尽くされたんじゃいらいらしちゃう。余程自覚症状のない色男でもないかぎりね。
だいたい、この本の中で惚れることのできる男の人って相当難しいのでは。私の趣味の問題かな…。
思い返してみれば、この小説では人物描写はどれもあまり深くなかった気がする。次がどうなるのかが楽しみ。
それからそれから?