おわらない物語 -アビバの場合-
監督:トッド・ソロンズ
「人は見た目が9割」って本が去年ヒットしたけど、それを打ち崩そうっていうソロンズ監督のワンダフォな試み。
1人の主人公をまるでバラバラな8人の役者が演じることでavivaの「見た目」は無意味になり、変わらない本質だけが浮き彫りになる…はずなのですが、avivaの人間としての設定をどう見ても超越している役者まで登場するのはどうなの。
生まれ持った性や人種も、変わらない、「終わらない」ものだと思うのだけど*1。
それに、映画の中のほかの人物は変わらないから(全員変わったら観客は認識不能になってしまうだろうけれど)、まったく別人のアビバを構わずアビバとして扱う彼らも奇妙で、なんだか夢を見させられているような気分になってしまった。
監督の言いたいことはわかるし、試みとしては面白いと思ったけれど、いかんせん説得力を感じなかった*2。
私もわりと運命論者だし、真実だとか本質だとかに弱いので、嫌いじゃあないはずなんだけど。
寓話的な雰囲気、正面からのシニカルな笑いは健在(母親が第二子を堕胎するときの理由や、産婦人科の前で中絶反対の抗議デモを行っている人たちの動きとか)。
DVD、珍しく監督のインタビューまでついていて親切だったが、日本語訳には問題あり。
評価:★★★☆☆