女であること(川端康成)

MoMAによる2002年の復刻版

女であること (新潮文庫)

女であること (新潮文庫)

タイトルがすごい。登場人物のうちの2人に惹かれてあっという間に読了。
女に関して、面食らうような表現、展開、登場人物の思考や行動に、作者の、男の不躾で下品で脂のういた視線を感じてしまった。
川端康成きもっ! たぶん時代性だけじゃないはず、知らないけどさ。
「品行がいい」はずの男がベッドで手を伸ばすのが、妻の「ちち」(原文ママ、平仮名表記)って、冗談のようだけど。


電車の中で読んでいたら、何年か前にまだ恵比寿にあったユトレヒトで買った「The Family of Man」という写真集(の元になったMoMAの展覧会の、日本巡回版*1)が「われらみな人間家族」という名前で出てきて驚いた。
私が持っているのは原本(といっても復刻版)だったので、紹介されていた訳の巧みさに感心してしまった。
家について思わず居間に持ち出して来て鑑賞。ユトレヒトで出会ったときも、軽い衝撃波だったけれど、こんなふうに見直すことになるとは、reencounterとでも言おうか、嬉しい気分。
小説の中でも、登場人物がいちいち衝撃を受けていて、しまいには倒れ込んでいた。
こちらの本はおすすめ。ベン・シャーンの写真が掲載されていることに今回初めて気付いた。

*1:会場は、日本橋高島屋だったそう