安藤明子の衣生活(安藤明子)

素朴にも美しくたとう紙にくるまれて

安藤明子の衣生活―ずっと着られる衣服を求めて

安藤明子の衣生活―ずっと着られる衣服を求めて

こういうすてきな本を待っていた。巷に溢れかえる薄っぺらなステキ気分本の中に紛れ込んでいた、地に足の着いた本。
著者の作品「サロン」の紹介を中心とした内容でありながら、どのページも彼女の落ち着いたスピリットに貫かれていて、感銘を受けた。
消費社会に歩調を合わせることなく、いつも&いつまでも着られるような服(常服)を考えて編み出された「サロン」*1。紙面では若い人も、子どもも、おばあちゃんも、それぞれ似合っていた。
ざくざく贅沢に布を切り刻む洋服と違い、最小限のカットで布を大切にできるところにも共感したし、洗濯や収納まで、着物のように理にかなった簡便な方法が考えられているのに至っては驚き。
そして着る人や身体の変化に合わせて変化する(調節できる)という懐の深さが最大の特徴*2
妊娠した会社の同僚がこれまでと全然違うテイストの服を着て出社しているのに違和感を持っていた*3ところだったのだけれど、妊娠しても着られるサロンなら、そんなこともないわけです。
他に紹介されていた、赤ちゃんのためのふんど(し)パンツ、ロンパースなども、ゴムで足を締めるより通気性があってずっと気持ちよさそうで、なるほどなあと感心してしまいました。

*1:本の表紙に写っている、ロングスカート状のものがそれ

*2:さらにスリングやストールなどとしても使えるとのこと

*3:「マタニティウェア」なんて、妊娠しているときにしか着られない洋服自体、なんだかおかしい気がしていたのです