ベロニカは死ぬことにした(パウロ・コエーリョ)

ベロニカは死ぬことにした (角川文庫)

ベロニカは死ぬことにした (角川文庫)

うわ、私ベロニカに似てるわー、とうろたえたのは、読み始めてわりとすぐだった。突飛な彼女の言動は、私も心に秘めていたものだった。
自分と肌があう本にめぐり合った時は、もうその幸運を知っている今となっては、残りのページが目減りするのを惜しみながら大切にページをめくることになる。
クライマックスまでは「アルケミスト」のように示唆に富んだ文章が続き、眠れる読者の日常を覚醒させるコエーリョワールドにすっぽりと落ち、時々溜息をつきながらも吸い込まれるようだった。
そしてどんでん返し!ここからはまた別の意味ですごく面白くて、文字を追うのを止められない。
急に夢から覚めたようで、あっけにとられながらも、2倍楽しませてもらったようなお得な気分もあった。
こんな私の心のドアさえノックしてくれる、大人のためのおとぎ話。