デルス・ウザラ(V.K.アルセニエフ)

デルス・ウザラ (地球人ライブラリー)

デルス・ウザラ (地球人ライブラリー)

黒澤の「デルス・ウザーラ」を観て*1、気になって本も読んでみた。
ちょうど100年前(1907年)に書かれたロシア将校の探検記。
素人が書いたものだし、むかしっから自然観察記ってそんなに楽しんだおぼえがないし、淡々としててつまんないんだろうなー、途中でくじけるかもな、って思いながら読み始めたらとんでもなくて、嘘みたいに面白くてぐんぐん読み進んだ。
ロシアの密林の描写なんて植物名が出て来たってわからないんだけれど、このアルセニエフという隊長は、人間としての品が感じられ、優しさ、勇気、聡明さも備えていて*2、そのせいかこちらは落ち着いて読んでいられるのが快い。そしてあくまで淡々と綴られた記録にもかかわらず、彼らの活動や状況が活き活きとこちらに伝わる情景描写の細やかさ、的確さ。それは何より彼がデルスを尊敬し、彼同様にこの密林を愛しているからなんだろう。本当に、読んでいるだけでまるで森林浴をしたような気分になれたほど。
映画では描かれていなかったエピソードもたくさん知れたし(特に、中国人とか、面倒な問題になりそうなところはみんなカットされていたけれど、そここそ興味深かった)、隊長が長く辛い探検を終えて、快適な自宅に辿り着いて食事をし眠る描写はなんとも気持ち良さそうだった。
デルスについては映画のほうで書きます。(また今度)
この「地球人ライブラリー」シリーズは、ほかもずいぶん面白そうなラインナップでした。あれ、目覚めちゃった?

*1:まだ感想書いてないけど…

*2:彼によるこの本を読むかぎりですが