娘と私と娘のムスメ(佐藤愛子)

娘と私と娘のムスメ (集英社文庫)

娘と私と娘のムスメ (集英社文庫)

佐藤愛子という人を知らなかったのだけど、サトウハチローの妹で、直木賞作家。大御所な人っぽい。
娘が見合い結婚して、太ったと思ったら妊娠して、里帰り出産して、生まれた孫は1歳を過ぎて、二世帯住宅を建てる、というところまでの話。
ありふれた身内の話をいちいち大げさに取り上げて…こういうのって白けるんだよね…などと思ったのもつかの間、気付いたらケラケラ笑って一気読み。
気が強くてせっかちで、言いたいこと言って、でも娘はほっとけなくて。育児方法や性格など、母VS娘となるところは、私はほぼ全部著者派だった…。
そんな母を持つ娘は、ただのお嬢さん(そんなお嬢さんがちょっと羨ましい)。このエッセイを読む限りではなにかにつけてどっぷり実母の援助を受けていて、実家が離れている私は、ピーナッツ母子だかなんだか知らないけど、乳幼児がいれば近居に越したことなしと思う。母が有能で気が合うならなおさらだ。
親ってのはありがたいねえ。
私もたいがいだけれど、私の母はもっとせっかちだから、トロいと思っても我慢して…なんていう母娘のやりとりなんて身につまされた。
豪放磊落をウリにしている女流作家のエッセイってたいてい厚かましさが鼻について気分がよくなかったりするのだけれど、この著者は言葉が悪いわりに偉ぶってはおらず、磊落でバタバタしているのに、ブツブツ言いながらも娘家族には歯が立たず、つい甘くなってしまう母親っぷり、そしてそれを容認しているところが、強面の愛妻家のようで可愛かった。